■退職制度について
定年退職・早期募集制度・勧奨定職・自己都合退職に分かれています。
①定年退職・・・一部の専門職を除いて60歳となっています。通年離職していく全職員のおよそ半分を占めています。
②早期退職募集制度への応募による退職・・・人員構成を適正化させ、組織維持を目的とする制度です。少し詳しく説明しておきましょう。概ね、勤続20年以上で定年まで15年以内の職員が対象になります。この場合、退職手当算出の際に退職時給月額等に、定年までの1年につき概ね3%加算されます。この制度に応募しようとする職員側としても、前もって予定しておくことが難しいものがあります。この制度を使って離職する職員は、全離職職員のおよそ3%ほとです。因みにこの制度を実施する団体は通年10%前後です。
③勧奨退職・・・権利者が職員に対して人事管理上の目的から職員に対して対処を勧奨する制度です。退職手当に関する条例によって、定年までの年数1年につき概ね2~3%加算されます。この制度を使って離職する職員は、全離職職員の6%前後、勧奨退職制度を使った団体の割合は、通年20%前後となっています。
④普通退職・・・定年、勧奨、早期退職などのいすれにも該当しないで離職することです。「自己都合退職」と言えばわかりやすいですね。毎年この制度で離職する地方公務員の割合はだいたい30%前後です。自己都合により退職するため、退職金の支給率は他の退職制度に比べ低くなっています。
■再任用について
公的年金、報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げに伴い、無収入となる期間が発生しないよう当面の間、定年退職する職員が公的年金の支給開始年齢に達するまでの間、職員の希望により「再任用」することになっています。この再任用を希望する場合は、再任用者が年金支給開始年齢に達するまでフルタイムで再任用することとなっています。また、任期については、通例1年ごとの更新となっています。
■再就職の規制について国家公務員の再就職規制を受けて、地方公務員法が一部改正されています(平成28年)。営利企業などに再就職した元職員に対し、退職前の職務に関していくつかの働きかけを禁止しています。
①退職前5年間の業務に関し、退職してから2年間は、業務上の行為をするように、或いはしないように現職職員に要求したりすることは出来ません。
②上記に違反した場合、働きかけをした元職員に対し10万円以下の過料、不正な行為をするように働きかけした元職員には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金などが科せられます。
③退職管理の適性を確保するために、再就職のあっせんを規制したり、現職職員の求職活動の規制、再就職先の公表などがあります。
④条例によって、再就職した元職員に対し再就職情報の届け出をさせることが出来るものとしています。届け出義務違反の罰則についても条例で10万円以下の過料を定めることができます。
⑤不正な行為の見返りとして再就職のあっせん、求職活動などした職員は、3年以下の懲役となります。
■再就職支援について
様々な自治体で再就職規制等を実施しています。再就職の公平性を確保しながら適性に退職管理を行うために「人材バンク」といった求職情報提供を実施しているところも増えつつあります。利用できる職員については、再就職規制が厳しくかかる一定の職員に限る場合と一定の年齢層の職員全体が対象となる場合があります。求人側については、自治体が一定比率以上出資している外郭団体の一定レベル以上のポストに限る場合や、自治体職員を欲しいと考えている企業の全てを対象にしている場合があります。公正性の仕組みについては、人事委員会がマッチングについて審査を行う場合や、再就職の実績を公表するなど様々です。これらについては、公になっている制度だけでは運用状態がわかりづらいので、この制度を利用して再就職した人に聞くと良いと思います。或いは、人事担当者に実際の運用がどうなっているかを確認しておくとよいでしょう。
参考文献:地方公務員の再就職(第一法規:城戸亮2020.11)
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